澁澤龍彦が興味を抱いた数々のもの・事柄に関して、それらへの思いを綴ったエッセイ集。
まずは冒頭、いきなり「裸体」がテーマになっているあたり、やはり澁澤龍彦らしい。裸体に始まり、美術館・書物・童話・地球儀・男根などなど、お馴染みのテーマに関しての思いが綴られている。どれをとっても「澁澤龍彦」に欠かせないテーマである。おそらく澁澤ファン以外にはあまり興味をそそらないテーマばかりであろうが、文章は軽快で読みやすく、とても丁寧である。
身の回りにあるものや事柄で、彼のように色々な角度から興味を持って語ることは、とても難しいように思える。身の回りにあるそれらは、いちいち存在意義を考えて入手したものではないし(例外はあるが)、存在しているのではないと考えがちである。
しかし、このような発想を目の当たりにすると、子供心を忘れることなく常に「自然体でいる」ことや「いろいろな角度から見てみる」こと、そして「純粋な心で見てみる」ことの大切さを痛感する。