トム・クルーズ&ニコール・キッドマン夫婦が、本作に込められた『愛』と云うテーマを、見事に打ち砕く!
スタンリー・キューブリック監督の遺作ともなった映画。キューブリック曰く「トム・クルーズとニコール・キッドマンが滅茶苦茶にした完全な矢敗作だ」と同時に「この作品が私の最高傑作だ」とも語っている複雑な作品です。
クリスマス時期のニューヨークの街並みがクローズアップされていますが、実はロンドンで撮影されたのだとか。
トム・クルーズとニコール・キッドマンの二人は、撮影当時実際に結婚していましたので、演技にはそれなりに夫婦のリアリティがあります。が、その後離婚してしまったので、本作冒頭の「トイレで用を足している最中のニコール・キッドマンにお構いなく洗面所に入って会話するトム・クルーズ」は、”完全に冷えきった夫婦”を象徴しているような場面がありますが、これはまさに当時の二人そのものだったのではないでしょうか。
物語は全般に「性」の要素がクローズアップされているようですが、実際には「愛」の要素が盛り込まれているようです。郊外の洋館で夜な夜な繰り広げられている淫美で官能的な秘密のパーティーなどなど、とっても不思議で怪しげな展開を見せてゆくストーリーには惹きこまれますが、個人的にはニコール・キッドマンの演技がちょっとしっくりきませんでした(さらに吹き替え版だとキッドマンのムカツキ具合がMAXに!)。
さて、ハリウッドの俳優としては低身長なトム・クルーズですが、やっぱり甘いマスクで高級なスーツを着ているとカッコイイなぁ~と思います。だがしかし、この人は身長にコンプレックスがあるのか、はたまた身長をカバーするための演出なのか、スーツでもタキシードでもセメント靴っぽい厚底の野暮ったい革靴なんですよね。この作品も勿論そう。全体のバランスが一気に崩れてしまっているようで、いつもガッカリしてしまいます。オールデンあたりを履いていて欲しいものです。
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偉大な監督にふさわしい最終章
スタンリー・キューブリックが最後に挑んだテーマ、それは性的な精神世界への旅立ちと緊迫のサスペンスの融合。そしてこの作品はトム・クルーズとニコール・キッドマンという二人のスターのキャリアにおける試金石となった。クルーズの演じる医師は、彼の妻(キッドマン)から性の欲望を告白されたことが引き金となり ― それが恐るべき殺人事件に発展していくとも知らずに ― 自らの結婚生活を脅かすほどエロティックな衝動に埋没していく。疑惑と恐怖から脱皮し、自己発見と調和へと続く道が、キューブリックの振るタクトによって、花開いていくかのようだ。優雅な撮影、卓越した色彩、息をのむ映像。時代を代表するフィルム・メーカーとしての名声をほしいままにしたキューブリックが見せる勇壮華麗な演出は、全ての人の目を大きく見開かせ続けるだろう。