『アメリカン・サイコ』映画レビュー

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アメリカ80年代バブル期のエリートを皮肉りつつ、そのエリートの狂気っぷりを描いたサスペンス映画。レオナルド・ディカプリオと主演を争ったクリスチャン・ベールがかなりのベスト・マッチング。

内容(「Oricon」データベースより)
ブレット・イーストン・エリスの同名小説をもとに、若きエリート証券マンの狂気を描いた異色ドラマ。出演はクリスチャン・ベール、クロエ・セヴィニーほか。
レビュー
製作: エドワード・R.プレスマン/クリス・ハンリー/クリスチャン・ハルシー・ソロモン 監督・脚本: メアリー・ハロン 原作: ブレット・イーストン・エリス 共同脚本: グィネヴィア・ターナー 撮影監督: アンドレイ・セクラ 音楽: ジョン・ケイル 衣装デザイン: アイシス・マッセンデン 出演: クリスチャン・ベール/ウィレム・デフォー/クロエ・セヴィニー/ジャレッド・レト/リース・ウィザースプーン 声の出演: 草尾毅/野沢那智/西田絵里/高田由美/高木渉/笹井千恵子
— 内容(「CDジャーナル」データベースより)

やれ予約の取りづらいレストランで飯を食べただの、誰とランチだの、クレンジングクリームがどこそこで、名刺の紙質がどうたらこうたら…と、拝金主義的なバブル真っ盛りのアメリカのエリート達を描いているわけですが、ほんとに嫌な感じですね(笑)。

主演のクリスチャン・ベールは、ニヒルでナルシスティックなキャラクターを見事に演じております。一時期はレオナルド・ディカプリオが主演の候補に上がっていたそうですが、クリスチャン・ベールで本当に良かったです。こののエリート(パトリック・ベイトマン)は単に顔だけならバニラ・スカイ辺りのトム・クルーズが演じたとしても別に違和感は無さそうですが、このストイックな雰囲気はクリスチャン・ベール以外には不可能といったレベルにまで作りこまれており、本作以降の彼の躍進ぶりも充分にうなずけます。

ただ、このエリートがふとしたことをきっかけに段々と道を踏み外し、タイトルにもあるようにサイコな殺戮を始めるのですが、肝心のそういうグロテスクなシーンはあえてカットして仕舞っているとのことで、イマイチそのサイコ具合を掴みきれませんでした。
それに加えて、事件の一部を妄想なのか現実なのか曖昧にしたかったのは分かりますが、伏線(らしきもの)をきちんと回収しなかったりして、これが果たして意図されたものなのか、そうではないのか、正直よく分からなくなっている感じがします。
だけども妙な色気を持っている作品で、クリスチャン・ベールの魅力も相まって、飽くことなく何度も何度も観てしまいます。