『デビル(原題:The Devil’s Own)』映画レビュー

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ハリソン・フォード×ブラッド・ピット!物凄く良い雰囲気で期待感が膨らむ前半と、いつも通りのハリソン節全開の後半がなんとも…。惜しい感があるサスペンス・アクション。

Amazon.co.jpより
【ストーリー】
ニューヨークの実直な警官トムの家に下宿人としてやって来た、純朴で快活なアイルランド青年ローリー。
しかし、その天使の笑顔の裏側には、国際手配されたIRAのテロリスト、“エンジェル”という“悪魔の顔”が隠されていた・・・。

ハリソン・フォード&ブラッド・ピット、人気と実力を併せ持つハリウッド最高のスターが、スクリーンで対決!
友情と裏切り、そして復讐。
まったく違った道を生きる2人の男の正義と意地が、火花を散らして激突する。
北アイルランドの残酷で哀しい現実を背景に、犯罪都市N.Y.で息もつかせぬサスペンスが展開する。
監督には、『推定無罪』『大統領の陰謀』の名匠アラン・J・パクラ。
超一流の顔合わせがついに実現した!

ブラッド・ピットがIRAの若きテロリストを演じ、生真面目な警官を演じたハリソン・フォードと共演した作品。サスペンス・アクションに分類されるも、正直どちらでも無くて二人の人間ドラマか。健やかに育っていたアイルランド人の少年(フランキー・マグワイア)が目の前でIRAシンパの父親を殺され、復讐のためにIRAの活動家となる。フランキー(通称エンジェル)は成長し、IRAの切込隊長として名を挙げてゆく。フランキーは武器を手に入れるためにアメリカに渡り、そこで潜伏先として紹介されたハリソン・フォード演じる真面目な警官トム・オミーラの自宅に居候の身となる。

ここで描かれるのはオミーラ一家とフランキーの温かい交流。フランキーとトムは次第に心を通わせ、信頼を築きあげてゆく。まるでアル・パチーノとジョニー・デップの『フェイク』の様な展開で懐かしくなりました。フランキーを演じたブラッド・ピットが爽やかで美しい。短髪もワイルドだけどこのくらいの髪の長さがイイですね。レザーのジャケットも似合いまくり。だけど、結構最後の方までその優しい雰囲気のままで行っちゃうもんだから、ちっともデビルには見えません。

ハリソン・フォードが演じたトム・オミーラはいつも通り、家族の尻に敷かれつつも家族を大切にする良い父親像でした。ワンパターンといえばワンパターンだけど、今回は結構良かったと思います。ただ、絵に描いたような生真面目さがなんともうそ臭い。

なかなか見所のあった前半とは裏腹に、あまりにも薄っぺら且つ淡々と進んでいく後半はちょっとガッカリ。脚本のせいですかね。ブラピからはあんまりタイトルの『デビル』っぽい雰囲気を感じられなかったこととか、いつもの「ハリソンのど~んとやってみよう!」的なところとか…。どうしても『フェイク』と比べちゃう私がいけないんでしょうが、もっと「友情」の部分と「デビル」の要素を掘り下げていたら化けた映画なんじゃないでしょうかね。
決して悪くはなかったけど、ひたすらに「惜しい」の感想が残る作品となりました。