エイドリアン・ブロディがまさにハマリ役。重たいテーマなので何度も観たくはならないだろうと、かなり集中して鑑賞しました。
ポーランドのピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンが1946年に戦時中の体験をまとめて刊行した「ある都市の死」を映画化した本作は、第二次世界大戦中のナチスドイツ占領下にあったポーランドが舞台となっている。
戦争という重たいテーマでしたので、DVDを購入してからも、すぐに観ようという気持ちにはなれませんでした。
一人のピアニスト、シュピルマンという男の目を通して、戦争の悲惨さやナチス占領下でのユダヤ人虐殺の様子が映されます。勿論映画としての演出や片側からの視点が中心となっておりますので、単純にそのまま受け止めることはできませんでしたが、色々と考えさせられる作品でした。
主演のエイドリアン・ブロディは、この映画に出演するにあたって実際にピアノの演奏法を学んだり、実際に引き篭って生活して過激な減量をしたりと、役に入り込むメソッド演技法をおこなっていたようです。
あまりにも淡々としていて、急で矢継ぎ早な場面転換があったり(家族と離れ離れになるシーンとかにしてもアッサリな感じが…)と、時々気になる部分もありましたが、エイドリアン・ブロディのこの努力は素晴らしいものでした。とてもプレデターズの主演の男とは思えません(笑)。
戦争・感動・ユダヤでアカデミー賞を狙いやすい作品であることは確かなのかもしれませんが、エイドリアン・ブロディの「役を演じる」努力が実を結んだ、素晴らしい結果であることは否定のしようがありません。
個人的には、傑作か?と云われると手放しでそうだとは思えませんが、エイドリアン・ブロディの演技とラストのピアノに心を打たれたのは事実です。世界にはまだまだ戦争や扮装、そして無意味な暴動・略奪など、平和な生活を脅かす事件が起こっていますが、毎日どこかで大切な命が失われていると思うと、胸が詰まります。
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【ストーリー】
1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻したとき、シュピルマンはワルシャワの放送局で演奏するピアニストだった。ワルシャワ陥落後、ユダヤ人はゲットーに移住させられ、飢えや無差別殺人に脅える日々を強いられる。やがて何十万ものユダヤ人が強制収容所へ移されるなか、シュピルマンは奇跡的に死を免れ、ワルシャワ蜂起を目撃する。必死に身を隠し、ただ、生き延びることだけを考えるシュピルマン。だが、ある晩彼は遂にひとりのドイツ人将校に見つかってしまう・・・。