『レディ・イン・ザ・ウォーター(原題:Lady in the Water)』映画レビュー

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M・ナイト・シャマランが放つファンタジー映画。宿命の「何か仕掛けがあるのかな?」という想いを断ち切れず、素直に鑑賞できません…。

ブライス・ダラス・ハワード主演、M・ナイト・シャマラン監督の『レディ・イン・ザ・ウォーター(原題:Lady in the Water)』

【ストーリー】
多種多様な人々が集まるフィラデルフィアのアパート。日々仕事をこなすだけの人生を送るアパートの管理人クリーブランド(ポール・ジアマッティ)は、ある日突然プールに現れたひとりのレディ(ブライス・ダラス・ハワード)を発見する。彼女はどこから来て、何を伝えに来たのか?記号論者(シンボリスト)・守護者(ガーディアン)・職人(ギルド)・治癒者(ヒーラー)。鍵を握る人々は、このアパートの中にいる。彼女の名前は、ストーリー。出会った瞬間、何かが変わる。

冒頭の導入部分からしてお伽話っぽさが満開。サスペンス的な要素は薄く、ファンタジックなお伽話です。謎の女性(ブライス・ダラス・ハワード)は浮世離れした外観のためか、確かに人間のようで人間でない役目が似合う。

シャマラン作品にはお決まりのシャマラン監督自身の出演であるが、これに関しては何時もに増して出演時間が多く、ハッキリ言ってウザかった(笑)。

そして良くも悪くもシャマランの代名詞ともなったアレはなくて、なんだかロールプレイングゲームのような展開。クライマックスになってもイマイチ入って行けず、消化不良でした。
第27回ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞をはじめとして、全4部門にノミネート。最低監督賞・助演男優賞(シャマラン本人)の2部門を受賞した本作。期待して観た場合と、期待せずに観た場合の評価は、大いに分かれることだろう。

テーマとして込められた「人間愛」は大いに結構なことだけど、映画作品としてはちょっとガッカリだったかな。まあ、あくまでもお伽話なので、細かいところは気にしちゃ駄目なのかもね?

Amazonレビュー
つねに物議をかもすM.ナイト・シャマラン監督作にあっても、本作はかなりあれこれ言われる問題作になるだろう。毎回、超常現象や、それらしいテーマを扱っているが、今回は「水の精」。アパートの管理人がプールから上がってきた怪しげな女性を見つけ、彼女が人間ではないと知る。これまでの作品に比べると、ドンデン返しがあるわけではなく、あくまでも「おとぎ話」として描かれているのが特徴だ。
ストーリーという名の水の精(外見は人間と変わらない)を、水の世界へと返すため、管理人が「伝説」を頼りにするというのがユニーク。アパートの住民たちがその伝説で役割を担うという展開に加え、突如として水の精を襲う魔物が現れるなど、すべてが観客の予想を軽々と超えていく。自作に出演するのが大好きなシャマランも、今回かなり重要な住民の役で登場。アパートの個性的な面々が要所で奇妙な笑いをとるのも、シャマラン作品らしい。確かに全体的には“こじつけ感”がなくはない。思わせぶりの演出に、騙されたつもりで乗れるかどうかが問題だ。とにかく「観てみないと分からない」と思わせるのが、この監督の魅力ではある。(斉藤博昭)