アラン・ドロン主演『仁義(原題:Le Cercle Rouge)』映画レビュー

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口ひげのアラン・ドロンの圧倒的な色気にやられつつ、イヴ・モンタンも良いかな~と思ってしまう。意外とストレートで鑑賞しやすい、極上のフレンチ・フィルム・ノワール。

フィルム・ノワール『仁義』より。アラン・ドロンの色気に参ってしまう一コマ

子供の頃、多分『サムライ(原題:Le Samourai)』で初めてアラン・ドロンを観て、なんて綺麗な男の人だろうと思った記憶がある。別にそういう趣味は無いのだが、大人の男(当時私は生まれてもいなかったが…)でも惚れ惚れしてしまう男であった。

一般的にはどうにも1967年に公開された『サムライ(原題:Le Samourai)』の方が人気があって評価も高いらしいのだが、私は個人的に1970年に公開の本作『仁義(原題:Le Cercle Rouge)』を推したい。本作のアラン・ドロンは恐らく”付け髭”をつけている。このヒゲが不人気の原因の一つであるらしいが、このヒゲがあるからこそ、ドロンの紳士度が増しているのである。何というかいつものアランドロンのような別世界の住人的なルックスではなく、この”リッパなオトナ”の雰囲気には、ある種の憧れを抱き続けている。

さて、二時間半近くあるので途中で眠くなってしまったり、細かい点ではおかしなところもあるのだが、友情と裏切り、そして滅びの美学を分かりやすくストレートに描いている本作は『サムライ(原題:Le Samourai)』と比較してみると、幾分鑑賞しやすい作品ではないだろうか。ひたすらに渋くてクールなアラン・ドロンや、仁義に厚いキャラクターを演じたジャン・マリア・ヴォロンテ、そしてイヴ・モンタンの名演など、なかなか良いではないですか。クールでドライ、且つ固茹でハードボイルド。

場面転換の際の運転シーンが嵌め込み合成(『007 ドクター・ノオ(007は殺しの番号)』でも同じようなシーンが有った。時代的なものだろうが…)丸出しであったり、ジャン・マリア・ヴォロンテがトランクから出てきて煙草をもらい、その煙草を持ったまま再びトランクの中へ戻って行ゆシーンなどは思わず、
「オイ煙たくないのかよ!?」
と言いたくなること請け合いである。

当サイト的な視点から云うと、本作におけるアラン・ドロンのトレンチコート姿はまさに見ものである。『サムライ(原題:Le Samourai)』のカッチリしたトレンチよりも、ポリ混でややヨレ気味。エポーレットの無いタイプ。いつ観ても、このトレンチコートをダンディに着こなすアラン・ドロンには心からウットリとしてしまうのです。

※件の”喫煙したままトランクへ戻るシーン”をyoutubeで発見しましたので、埋め込んでおきます。渋~いドロンに酔いしれつつ、動画の最後をしっかりとご覧あれ!

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
『サムライ』のジャン=ピエール・メルヴィル監督、アラン・ドロンとイヴ・モンタンの2大スター共演によるフィルムノワールの名作。宝石店襲撃に命を懸けた男たちの友情と裏切り、破滅に至るまでを描く。