『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(原題: Spider)』映画レビュー

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デヴィッド・クローネンバーグ監督作品!レイフ・ファインズやミランダ・リチャードソンの名演が冴え渡るが、如何せん地味すぎる(笑)サスペンス映画。

レイフ・ファインズ主演、デヴィッド・クローネンバーグ監督のサスペンス映画『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(原題: Spider)』の一コマ

【ストーリー】
心療施設からロンドンへやってきた一人の男。彼は自分の過去を回想しては、それをノートに綴る。娼婦と浮気する父親や母親の不幸、そして自分。蜘蛛の巣のように絡まる記憶の糸を辿った先には…。

『スキャナーズ』や『イグジステンズ』の監督として知られ、グロテスクな描写を得意とするデヴィッド・クローネンバーグが監督を努めた作品だが、興行的には失敗だった本作。
だがしかし、主役を努めたレイフ・ファインズの名演技や、ミランダ・リチャードソンのアレやコレ(※ネタバレ自重)など、演技の点においては素晴らしかった。

何が駄目だったのかを考えてみると、単純に”地味”だったとか”スパイダーのスパイダーたる理由と云うか原因がしょぼかった”とか、その辺だろうか。かく云う私も映像や演技は充分満足できたが、トリックそのものやそれに至る理由づけが、だいぶ甘かったように感じる。駄作ではないが、佳作でもない微妙な印象。恐らく映画館まで観に行っていたとしたら、もっと文句を言おうかと思ったかもね(笑)。

もしかしたら多くの男性は子供の頃、鑑賞後にある種の女性(母親?)の二面性において、本作で描かれていることと同じ気持ちを抱いたことがあるかもしれない。もちろんその結果は映画とは異なるものであるが(当たり前だ!)。

内容(「Oricon」データベースより)
統合失調症により精神を病む男が夢とも現実ともつかないような記憶を、蜘蛛の糸を紡ぐように手繰っていく。パトリック・マグラアの原作世界をデイヴィッド・クローネンバーグ監督が見事に映像化した芸術性の高いサイコ・スリラー作品。