アンソニー・ホプキンスの一人芝居が冴え渡る!映像よりも心理的な恐怖感を楽しめる佳作!
若き日のアンソニー・ホプキンスが、マジシャン兼腹話術師に扮しております。当時ホプキンスは40歳くらいでしょうか。まだ髪の毛もあり、そしてだいぶ痩せていますね。勿論役作りということもあるんでしょうが、この頃のアンソニー・ホプキンスは、見た目的には地味で何の変哲もないのですが、流石にこの頃から演技が上手ですね。顔の表情や動きの一つ一つが丁寧で、見逃せません。
さて、売れないマジシャンだったコーキーは、ファッツという腹話術の人形を使ったマジックを始めみたら話題を呼び、テレビショーの出演依頼も飛び込んで来まして、いよいよ人気者の仲間入り…かとおもいきや、コーキーは何故か生まれ故郷に帰ってしまいます。同級生夫婦の経営するコテージに宿泊しているうちに、奥さんのペギーさん出来ちゃうわけですが…ペギー曰く、コーキーはアッチの方の技に関しテクニシャンなんだそうですよ!(下衆の極み)ま、マジシャンは手先が器用だから…ね…。
でね、ちょっと見て欲しいんですが、この腹話術人形のファッツ君ね、なんと「可愛い」という扱いなんですよ。よくある「最初は可愛く見えたけど段々…」とかには全然当てはまらなくて、はなっから可愛くないんですよ…ただのオッサンじゃん。
次第にコーキーの精神状態はおかしくなり、単なる腹話術人形だったはずのファッツが、まるで心を持ったように喋り始めます。勿論これはコーキー自身がおこなっている行為なのですが、ファッツの喋っていることが本音なんでしょうね。この辺りのホプキンスの一人芝居は圧巻ですね。本当に腹話術をしているわけではないんでしょうが、さすがの演技力。
作品全体はなんというか、とっても地味でおとなしいものなのですが、この演技だけでご飯三杯はいける感じの名演技です。
因みにホプキンスは、本作品で英国アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされています。
ただ、本作のホプキンスが後に云われるようになった「羊たちの沈黙のレクター博士の原点~」という謳い文句に関しては正直、首を傾げざるを得ません。悪役・犯罪者というか、単にサイコ・キラーを演じたからってだけじゃない?う~ん。
内容(「Oricon」データベースより)
名優アンソニー・ホプキンスと名匠リチャード・アッテンボローが生みだす異色サスペンス!ナイトクラブの売れないマジシャンのコーキー。ファッツという人形を使って腹話術を使ったカードマジックを始めたところ、爆発的な人気を呼び、たちまちスターとなる。しかし急に恐れをなして生まれ故郷に帰ったコーキーは、同級生夫婦のコテージに身を落ち着けるのだが…。