M・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』映画レビュー

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主演のマーク・ウォールバーグも失敗作だったと認めている(コラコラ!)本作は、最高の謎に満ちた前半と最低な後半の落差がジェットコースター並みでした…。

M・ナイト・シャマラン監督の映画、『ハプニング』からの一コマ。

※以下、ネタバレあり。
冒頭、いきなり動いていた人たちが動きが止まり、いきなり自らの命を断ったり、ビルの上から集団で飛び降り自殺を測ったりと、謎の事件が起こる。
この冒頭の数分は物凄く謎に満ちていて、画面に釘付けになってしまいました。
そして、この異常現象は次第にアメリカ全土へと拡大し、犠牲者が増えてゆく。この事件の報せを受けた教師エリオット達は、安全な場所へ避難しようとする。
犠牲者を増やしながらも逃避行を続ける中で、起こっている現象が少しずつ明らかになってゆく…。

この”正体の分からないもの”に怯える空気感は、スティーブン・キング原作の映画『ミスト(THE MIST)』にも似た部分があり、とても興味をそそる雰囲気でした。
だけど、その雰囲気やドキドキ感がいい意味で続くのは前半~中盤辺りまで。後半に登場するババアが全てを台無しにして、よく分からないまま終わってしまいます。まさに拍子抜け。こんなのあり?

自然界からの警告めいたものであったり、いつ誰の身に降りかかるかわからない恐怖であったり、それらの前でなすすべもない事を見せつけられたり、本作全体にキリスト教(カトリック)に根ざしたネタが散りばめられていたりと、実はかなり深い内容が秘められているのですが、そんなことを再び辿る気も無くさせるような拍子抜け感がありました(苦笑)。

エンディングはあそこまで丁寧にするんじゃなくて、その前で主人公と奥さんが手を繋ぐシーンで終わったほうがスッキリしていたんじゃないかな。

シャマラン監督の独特の映像や恐怖感を盛り上げるカット割りなど、映像はいつも通り素晴らしくて良い物だと思います。シャマランはもう監督だけに専念して、脚本には一切関わらないほうが良いのではないかな?と思わせる一作となりました。
シャマラン監督は常に”どんでん返し”を期待されていて、観る側はもう初めからそういうのを期待して身構えてしまったり、逆にどんでん返しが無かったりすると今回のように拍子抜けと感じてしまったりと、どちらにしても大変でしょうね。

それからウィル・スミス主演の最新作『アフター・アース』は早くも各方面から酷評されているらしいのですが、なんでも”M・ナイト・シャマラン監督作品”であることを伏せてキャンペーンが行われていたらしいです(笑)。
まぁなんだかんだで、色んな意味においてシャマラン監督の今後が気になってしまう辺り、彼の作品は常に期待を膨らませている証拠でしょうかね。心の何処かでは常に、『シックス・センス』以上の驚きを求めてしまいます。

内容紹介
「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督が放つディザスター・スリラー
人類は滅びたいのか。
いま、“何かが起きている……”
映画の言葉“自然界の出来事は完全にはわからない”

<キャスト&スタッフ>
エリオット…マーク・ウォールバーグ(森川智之)
アルマ…ズーイー・デシャネル(岡 寛恵)
ジュリアン…ジョン・レグイザモ(井上倫宏)
ジェス…アシュリン・サンチェス(宇山玲加)