ダンディズムやスーツに関して造詣の深かった服飾評論家の故・落合正勝氏が、絶対に失敗しないスーツ選びの秘訣や、ネクタイの色と長さ、靴やシャツのことなど、『男の装い』に関する様々な「基本」について語る、文庫オリジナル作品。
第一章ではクラシックスーツについてやスーツ選びのコツ、スーツのボタン、スリーピーススーツ、テーラーメイドについてやスーツの手入れ、アイロンについて。第二章では、ネクタイと靴・靴下について。第三章はブレザー、礼服からカジュアルな装いについて。第四章はシャツとオーバーコート、レインコートについて。第五章では、ハンカチやカフ・リンクス、手袋や鞄、メガネなどの小物について。『男の装い』に関する基本を、とても丁寧に解説している。
しかしながら『基本編』であるが故、既に落合正勝氏のファンになっている方には少々もの足りず、10年以上前の本であるから、スーツの基本に疎い若者には少々古く感じられるのでは無いだろうかと思う節もある。だがしかし、流行に過激に流されることなく、あくまでも基本に忠実にあるよう心がていれば良いのであって、やはりここで書かれているものは正しいのだと思う。
フォントサイズも若干大きめで、とてもテンポ良く書かれているので、じっくり読むもよし、ライトに読むもよし。一度読んでハイ終わりと云うよりは、新しいアイテムを手に入れようとした際などにも手にとってしまう、まだまだ基本の域を脱していない私には手放せない一冊となっている。