これはアカン…アカンやつや…。巷で云うところの『鬱エンド』を、緊張感タップリの終着点でどど~んと突きつけられ、完全ノックアウトされてしまいました。
驚愕のラスト15分~の下りは、スティーヴン・キングの原作には存在しない映画のオリジナルだそうです。キング本人に「このラストを思いついていたら小説でも採用していた」と云わしめたほど。クライマックスとしては十分すぎますね。
当たり外れが多いと云われるスティーヴン・キング原作作品ですが、これは個人的に大当たりでした。『鬱エンド』といわれるエンディングのため、賛否両論があるようですが、単なるサスペンス・ミステリー(ホラー要素・SFホラー要素もある)作品ではなく、恐怖や集団心理を見事に演出したり、教訓めいたものや宗教に救いを求めることの虚しさ(心の拠り所として大切なものだとも解釈できる)も絡めたりと、いろいろな要素が織り込まれていました。
さて、出てくるモンスターは触手系の生物や昆虫、挙句は天にも届きそうな巨大スケールのものまで様々。結構リアルな外観をしているのですが、恐怖の空気感や幻想的なディテールなどなど、クトゥルフ神話っぽい感じ。
キャストも演技力の確かな面々が揃っていますので、まだ観ていない方は是非!などと軽々しく薦められるような作品ではないですが。決してカップル向けではありませんが、独りでじっくりと鑑賞したい方には良いかもしれません。また、コレクターズ・エディションにはモノクロ版が収録されており、そちらの方が恐怖感倍増でお勧めです。モノクロに抵抗がなければぜひとも!
京極夏彦風に云うところの、
「嗚呼、厭なものを視て仕舞った…。」
是非、味わってみてください!
Amazon.co.jp 内容紹介
7月19日の夜、メイン州西部の全域が、未曾有の激しい雷雨にみまわれた。嵐に脅える住民たち。だが、その後に襲ってきた“霧”こそが、真の恐怖だったのだ。その霧は街を覆いつくし、人々を閉じ
込めてしまう。時を同じく、デイヴィッドとビリーの父子は食料を買出しに行ったスーパー・マーケットで“霧”に閉じ込められてしまう。他の買い物客が建物の外に出ようとすると、次々に霧の中の
何者かに襲われていく。立ち往生を強いられる中、母の待つ家に帰ろうとビリー少年に哀願されるデイヴィッド。そしてある決意を固めて絶望的な状況の中、父子での決死の脱出を図る二人の前につい
に姿を現す“霧”の正体とは? 人間は見たことのない恐怖の前にどのような選択をするのか。そして奇怪な霧に閉じ込められた人々の運命は?