『ゴールデンボーイ(原題:Apt Pupil)』映画レビュー

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少年がよく学び、よく遊びます。イアン・マッケランとブラッド・レンフロ、どっちも怖~い!

『ゴールデンボーイ(原題:Apt Pupil)』ブラッド・レンフロとイアン・マッケラン

本作はスティーヴン・キングの小説、『恐怖の四季(原題:Different Seasons)』という中編作品集に収められていた『Apt Pupil』を、1998年に映画化したもの。この『恐怖の四季(原題:Different Seasons)』には、本作の元ネタだけでなく、名作といわれる『ショーシャンクの空に(原題:刑務所のリタ・ヘイワース)』や、『スタンド・バイ・ミー(原題:The Body)』も収められております。

学校の授業でホロコーストについて学んでいた成績優秀な学生トッド(ブラッド・レンフロ)が、バスの中でひとりの老人”アーサー・デンカー”にたまたま注目。「おや?あいつは元ナチス強制収容所の司令官”クルト・ドゥサンダー”では?」という疑い(よく分かったなぁ?)を持って、その老人(イアン・マッケラン)のあとをつけて行きます…。
この頃トッドの興味はというと、もっぱら第二次世界大戦のことや、ナチスの強制収容所に関する、特に残虐な事柄ばかりでしたので、疲れ果てた老人に対して水を得た魚のように、「正体をバラされたくなかったら、ナチスのコスプレをして収容所の詳しい話(ユダヤ人のことやガス室の様子など)を聞かせろ!」と脅迫します。最初は嫌々だったドゥサンダーは、ナチスのコスプレをしているうちに忘れていた当時の記憶が蘇り、段々と狂気に目覚めてゆくわけですが…ドゥサンダーの変貌っぷりが中々の迫力。

時折、「この作品のイアン・マッケランって、三國連太郎に似てないか!?」と思ったり、「そもそもジョン・ハートと区別がつかないんだよな…」等と個人的な悩みが脳裏をよぎってあんまり集中できない状態が続いたのですが、優等生だったトッドもドゥサンダーの秘められた狂気に徐々に蝕まれて成績が急降下していったり、ふとした拍子にドゥサンダーの正体がバレそうなったりするあたりから、物語は面白味を増してゆきます。

色々と規制があって変更せざるを得なかったのでしょうが、後半の重要なシーンやエンディングが原作と大分違っております。原作にあって一番映像で見たかったシーンがカットされているし…って、さすがにアレは無理でしょうけど。まぁ、結果的にはトッドのスケールがちっちゃくなった感じがして、勿体無い気もする。

内容(「Oricon」データベースより)
ナチスの戦犯の過去を知るうちに自分の内側に潜む残虐性に目覚めていく青年の狂気を描いたサイコホラー。ブラッド・レンフロ、イアン・マッケランほか出演。