『裏切りのサーカス(原題:ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ)』映画レビュー

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ゲイリー・オールドマンの真骨頂!スーツや小物、佇まい、インテリアの数々も英国好きには見逃せない、たいへん緊張感のあるスパイ映画。思いっきり地味だけどな!

『裏切りのサーカス』で、クラシックなスーツに身を包むゲイリー・オールドマン

ゲイリー・オールドマンをはじめとして、『英国王のスピーチ』などでお馴染みコリン・ファースや、BBCのテレビドラマで現代版のシャーロック・ホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチ等、名だたる英国人俳優を要した作品。MI6(イギリス情報局秘密情報部)を舞台にもぐら(二重スパイ)を探すように命じられた引退した老スパイ『スマイリー(ゲイリー・オールドマン)』。スマイリーという名前に反して全然笑いません。作品全体に重厚さと緊張感が漂う作品で、最期まで目が離せず、一気に観てしまいました。

ポール・スミスが監修したという衣装も見事。スーツ・手袋・コートにカバン・靴など、本場の英国人の着こなしはさすがですね。
さて、本作は一度観ただけではあんまり面白さを感じないかもしれませんが、複雑な登場人物をしっかりと覚えて、細かい部分を観ていくと、二度でも三度でも…むしろ観直すごとに面白さが増してゆきます。派手派手なスパイ(ジェームズ・ボンド)が活躍する007も面白いけれど、その対極にある本作も相当面白い!

しかし、『裏切りのサーカス』なんてナンセンスな邦題をつけるんじゃなくて、ジョン・ル・カレの原作通り『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』として欲しかったですね。原題よりも邦題のほうが映えることもあるけど、本作には無用だと感じました。

ゲイリー・オールドマンはイカれた役からこういう役まで、本当にしっかりとこなしちゃって記憶にも残る。本当に良い役者で、心から大好きです。

Amazon.co.jp 内容紹介
英国諜報部上層部に潜む、ソ連の二重スパイを探せ。
白黒の区別もつかぬ灰色の世界に生きる男たちの孤独な魂が交錯する時、浮かび上がる真実とは――。

【ストーリー】
東西冷戦下、英国情報局秘密情報部MI6とソ連国家保安委員会KGBは熾烈な情報戦を繰り広げていた。 ある策略により、英国諜報部を去ることとなった老スパイ・スマイリーの元に、困難な任務が下される。 それは、長年に渡り組織の幹部に潜り込んでいるソ連の二重スパイを捜し出すこと。 標的は組織幹部の4人、。 過去の記録を遡り、証言を集め、容疑者を洗いあげていくスマイリー。浮かび上がるソ連の深部情報ソース、そしてかつての宿敵、ソ連のスパイの影。やがて彼が見いだす意外な裏切者の正体とは―。

【キャスト】
ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハート、トビ―・ジョーンズ

【スタッフ】
監督:トーマス・アルフレッドソン、製作:ブリジット・オコナー&ピーター・ストローハン、音楽:アルベルト・イグレシアス、原作:「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ジョン・ル・カレ著(ハヤカワ文庫刊)、特別協力:ポール・スミス