ジェレミー・ブレットがいつも以上にスリムで格好いいんだけど、これは心配だ。だって今回、すげー強そうなオッサンとやり合うだもん。
Wikipediaより抜粋
ヘレンとジュリアのストーナー姉妹は、亡母の残した財産を同居する義父の医師ロイロット博士に管理されながら、サリー州に住んでいた。財産は、彼女らが結婚すれば半分ずつ相続するという条件であった。だが、姉ジュリアが結婚前に謎の死を遂げた。彼女は死の間際に「まだらの紐(原語ではspeckled band)」という言葉を遺し、その恐ろしい最期を看取った妹のヘレンは姉の死から2年が過ぎたある日、不安に震えながらホームズに事件の究明を依頼する。というのも、屋敷の改築のために以前ジュリアの使っていた部屋をヘレンが使用することになり、部屋を移ったその夜、静けさの中でかつて姉の死の先触れにもなった不穏な物音を聞いたためである。
冒頭から物凄く怖いオッサン紳士(ロイロット博士)が出てきますが、この男は依頼人の義理の父に当たる人物。カミナリ親父的な怒り具合にちょっとビビリます。ベイカー街の221Bに早朝、今回の依頼人であるヘレン(そこそこ美人)が訪れたことにより、ハドスン夫人、ホームズにワトスンが立て続けに起こされちゃって、ちょっと不愉快そうな雰囲気が漂っています。今回のホームズはいつも通りのフロックコートに蝶ネクタイ。いつもながらジェレミー・ブレットの佇まいに見とれてしまいます。この撮影時のジェレミー・ブレットはいつも以上に痩せていてほっそりスリムさが際立っています。もしかしたらちょっと体調が悪かったのかもしれませんね。
さて、この物語で重要な意味を持つ原題『The Adventure of the Speckled Band』ですが、本来は『まだらのバンド』とされるべきはずが『まだらの紐』とされてしまっているので、ファンの間でもこの点は不満のようです。推理要素を多く含む作品だし、多くのファンに愛されている物語なので、その辺は慎重に訳して欲しかったですね。
ヘレンがホームズに、姉(可愛くない)が不審な死を遂げたことを相談しにきたこと嗅ぎつけて、カミナリ親父が凄い剣幕で221Bに怒鳴りこんでくるシーンは、かなりの緊張感が漂います。よくもまぁ他人の家でこれだけ暴言を吐けるもんだと感心しちゃいます。暴言につぐ暴言の果てに火掻き棒を怪力でひん曲げて立ち去りますが、こいつは紳士ではありませんな。
その後、ホームズとワトスンは列車に乗って事件の起こった家敷に調査に出かけます。この列車の内装がすごく素敵です。まるで洋室がそのまま移動しているかのよう。
家敷に到着して直ぐに、ホームズが隅々まで調査を行います。様々な家具が映されますのでヴィクトリア時代のインテリアを見たい!という私の様な人間には嬉しいところ。
ホームズはロイロット博士の仕掛けたトリックを見破り、実際にそれを実践します。命にかかわるということでホームズの手が震えるのですが、細かい演出が効いていますね。事件はあっと驚く結末となりましたが、エンディングロールでとても素敵な種明かし映像が流れるのに、タイトルはなんとかならなかったのかな~と何度も苦笑いをしてしまいました。