『イグジステンズ』映画レビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

設定が最高に面白いデビッド・クローネンバーグ作品。ジュード・ロウの演技力もさすがといった感じ。グロテスクな世界観で繰り広げられるヴァーチャル・リアリティ世界に没頭しつつも、肝心のゲームがねぇ…

Amazonレビュー
天才ゲームデザイナーのアレグラが、新作ゲーム「イグジステンス」の発表会でトラブルに巻き込まれる。青年テッドに支えられ脱出した彼女は、テッドに新ゲーム「イグジステンス」を試そうと提案。それは脊髄に有機生命体のゲーム端末を差し込んで、ゲームの世界へトリップするというものだった。
脊髄にゲーム端末を差し込むアイデア、トリップした奇妙な世界など、観る者の頭の中をグチャグチャにかきみだす演出は、デヴィッド・クローネンバーグ監督お得意のもの。テクノロジーに侵された人間の脳の乱れを見るようで、気味が悪いけれど興味深いという不思議な映画だ。天才ゲームデザイナーにジェニファー・ジェイソン・リー、テッドにジュード・ロウ。ジュードがクローネンバーグの世界にピッタリはまっているのも注目だ。(斎藤 香)
内容(「Oricon」データベースより)
デビッド・クローネンバーグ監督がバーチャルリアリティゲームの世界をショッキングかつグロテスクに描いたホラー作品。ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リーほか出演。

リアルなゲームと現実との境目が曖昧になりつつあることに警鐘を鳴らしたデビッド・クローネンバーグの監督作品。出てくるもの出てくるものがグロテスクで、ゲームのポッド(コントローラー)なんかも遺伝子組み換えから作った不気味な生物。そんな新しいゲームを体験しに集まった教会で、射殺事件が起こる。殺されかけたゲームデザイナーを連れて逃げ出したパイクル(ジュード・ロウ)が、ゲームの世界へと入ってゆく…

アイデア自体はすごくいいし、流石クローネンバーグだなと思わせるカメラワークや展開は見事。テンポもラストも物凄く良かったんだけど、肝心の『ゲーム』がすご~くつまらなそうで、こんなもん流行るわけ無いだろ!と誰もが思う内容(というか内容0なんですけど…)だったのがちょっと残念でした。まぁそこは、『現実とゲームの曖昧な境界線』がテーマの本作においてはそんなに重要じゃなかったのかもしれませんが、そのせいで大味だなぁと感じてしまったことは事実。もう少しゲーム自体の設定をちゃんとしておいて貰えたら、真実味が増して満足度も高くなったかもしれないなぁ~と思う作品でした。
…とは言え、頻繁にリピートして観たくなる辺り、自分的にはすごく好きな作品なんだなぁと思いますね。

因みにこの映画に出てくる特殊な素材で作られた武器『骨銃』は、『SF映画に出てくるワクワクを刺激する、クリエイティブな武器ベスト10』にも選ばれているそうです。