『バンカー・パレス・ホテル』映画レビュー

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梅宮アンナ?いいえ、キャロル・ブーケです。世界観が素晴らしいフランス産SF映画。ただし、よく分からなくてもOKな人向け。

ユーロSF『バンカー・パレス・ホテル』からの映像一コマ。

はい、バンカー・パレス・ホテルです。とっても好きな映画なのですが、あまり周囲の理解を得ていませんねぇ(苦笑)。
空から大量の酸性雨が振り続ける地上では、政府軍VS反乱軍の戦いが続いております。大統領は政府高官達に招集をかけ、地下の避難壕である『バンカー・パレス・ホテル』へと避難します。そこで彼らを出迎えたのは、人間の姿をしたアンドロイド達。バンカー・パレス・ホテルには既に、反乱軍のスパイが潜入しており、次第に混乱してゆくホテルの避難民たち…。

予算的な問題もあったのか、ほとんどがバンカー・パレス・ホテルという閉塞空間で繰り広げられる物語である。ホテルの内装はレトロフューチャー丸出しの近未来感であり、外観な人間と遜色が無いけれど、どこかおかしなアンドロイドの従業員達。なんとなくそういう世界観を見せつけた後、SF的なものは最後の方でで奇妙なメカが登場する程度である。多分に説明不足な点があるのだが、これが逆にこの作品を面白い物へと押し上げている気がしなくもない。

大統領の側近にして実業家のオルムを演じたジャン=ルイ・トランティニャンは、威厳に満ちた佇まいが素敵。スキンヘッドでなぜあんなに格好いいんだろう。仕立ての良いスーツはサイズ感もばっちりで見とれてしまう。バンカー・パレス・ホテルに潜入した反乱軍の女スパイであるクララを演じたのは、『007 ユア・アイズ・オンリー』でボンドガールを演じたキャロル・ブーケ。本作では赤毛でアシンメトリーの前衛的なショートカットで、まさに男装の麗人といったところ。だけどもちょっと、若いころの梅宮アンナに見えなくもない。

公開当時にフランスの観客動員記録を塗り替えたらしいのだが、大変地味で平坦な作品であるが故、退屈してしまう人の気持ちもよく分かる。じゃあ何故この映画が好きなのか?と問われると、やっぱり雰囲気かなぁ。う~ん、単純にそれしか無いわなぁ(笑)。

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
フレンチ・コミックスの第一人者、エンキ・ビラルの初監督作品。白い酸性雨が降り続き、政府軍と反乱軍が衝突を繰り返す世紀末。崩壊寸前の政府軍を前に、絶対的権力を握る大統領は地下の避難壕“バンカー・パレス・ホテル”に政府高官たちを召集する。
内容(「Oricon」データベースより)
フランスのマンガ家エンキ・ビラルが監督、脚本を務めた、酸性雨の降る未来都市を舞台に描くSFファンタジー。ジャン・ルイ・トランティニャン、キャロル。ブーケほか出演。