『薬指の標本』映画レビュー

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初々しくも雰囲気がある、今のイメージとはまるで違う…オルガ・キュリレンコのデビュー作!

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
芥川賞作家・小川洋子の原作をディアーヌ・ベルトラン監督が映画化。不慮の事故で薬指の先端を失ったことをきっかけに、“永遠に遠ざけたいと思う品々”が持ち込まれる標本室で働き始めた女性と、標本作製士の男の密かで奇妙な恋愛模様を描く。

本作は、小川洋子さんの小説『薬指の標本』を、ディアーヌ・ベルトランが映画化したものです。原作も読みましたが、雰囲気はフランス映画として全く違和感がありません。むしろ幻想的な雰囲気が増している気がして好きです。

奇妙な標本室に勤める事となったイリス(オルガ・キュリレンコ)。奇妙な標本室には『家の焼け跡に生えたキノコ』や『恋人が作った曲』、『頬の火傷』など、とても不思議で奇妙なものが持ち込まれてきます。

まぁ兎に角、オルガ・キュリレンコが良いですよ、最高に!
彼女は『007』シリーズの『慰めの報酬』や『ヒットマン』で「気が強く、勝気で男勝り」な女性を演じていたので、先にそれらを観ていた私にとって、ある意味本作での初々しい演技は衝撃的でした。元々モデル出身のオルガ・キュリレンコのスタイルは素晴らしく、靴を通じたフェティッシュな要素のある本作において、その美脚は特に眼を見張るものがありました。
オルガはこの『薬指の標本』がデビュー作。演技なのか素なのか定かではないのですが、とても初々しいです。2005年公開作品ですので、当時25歳くらいの筈ですが、だいぶ幼く見えます。初々しい演技と幼い雰囲気も手伝って、世間知らずな感じであるとか、時折見せる困った顔やヤキモチを焼いた表情が、妙にハマっております。この演技でデビューした彼女が後に、『慰めの報酬』であんなに気が強い女を演じるとは…演技の幅広いな!

作品全体に湿り気というか、ある種妖しげな熱気を帯びた作品で、常に冷たい飲み物を傍に置いて鑑賞しております。思えば、アントニオ・タブッキ原作の『インド夜想曲』も、冷たい飲み物無しには観られません。